記載した内容は特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資する際は自己判断でお願いいたします。
企業概要
株式会社大林組(コード番号:1802)は、日本を代表する大手ゼネコンの一社であり、建設事業を中心に国内外で幅広い事業を展開しています。国内建築、海外建築、国内土木、海外土木、不動産事業などを手掛け、インフラ整備や都市開発を通じて社会に貢献しています。
2025年3月期 第3四半期の業績(2024年4月1日~12月31日)
連結経営成績(前年同期比)
売上高:1兆8,811億円(前年同期比 +10.6%)
営業利益:971億円(前年同期比 +89.8%)
経常利益:1,056億円(前年同期比 +73.0%)
親会社株主に帰属する四半期純利益:955億円(前年同期比 +101.2%)
1株当たり四半期純利益:133.27円(前年同期比 2倍以上)
国内建設事業における大型工事の進捗や、海外土木事業におけるMWH社の連結子会社化などが売上増に寄与しました。手持ち工事の採算性向上や、政策保有株式の売却も利益の大幅増加につながっています。
連結財政状態
総資産:3兆643億円(前期末比 +1.5%)
純資産:1兆1,899億円(前期末比 -0.4%)
自己資本比率:37.3%(前期末比 -0.8ポイント)
資産の増加は工事代金債権の増加によるもので、一方で政策保有株式の売却による投資有価証券の減少が見られました。負債の増加は有利子負債(コマーシャル・ペーパー等)の増加によるものです。
配当の状況
2024年3月期:75円(中間21円+期末54円)
2025年3月期(予定):80円(中間40円+期末40円)
前年より増配を予定しており、株主還元の強化が伺えます。
通期業績予想(2024年4月1日~2025年3月31日)
売上高:2兆6,100億円(前年同期比 +12.3%)
営業利益:1,320億円(前年同期比 +66.3%)
経常利益:1,430億円(前年同期比 +56.3%)
親会社株主に帰属する当期純利益:1,280億円(前年同期比 +70.5%)
1株当たり当期純利益:178.69円
業績予想は上方修正され、引き続き高成長を見込んでいます。手持ち工事の順調な進捗、採算性の改善、政策保有株式の売却が寄与する見通しです。
重要な後発事象
自己株式取得の決定
取得総額:300億円
取得予定株数:2,000万株(発行済株式総数の約2.8%)
取得期間:2025年2月12日~6月30日
取得方法:東京証券取引所における市場買付
資本効率向上を目的とし、2026年度末までに1,000億円規模の自己株式取得を計画しており、その一環として今回の決定がなされました。
総括
株式会社大林組の2025年3月期第3四半期決算は、売上・利益ともに前年同期比で大幅増加し、通期業績も上方修正される好調な内容でした。手持ち工事の採算性向上や、政策保有株式の売却による利益増が寄与し、純利益は前年同期比で2倍以上に成長しました。一方で、自己資本比率はやや低下しており、負債の増加にも留意が必要です。
今後は、建設事業の継続的な成長に加え、自己株式取得による株主還元の強化が注目されるポイントとなります。