記載した内容は特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資する際は自己判断でお願いいたします。
企業概要
大平洋金属株式会社は、主にニッケル事業を展開する金属メーカーであり、フェロニッケル製品を中心に製造・販売を行っています。同社の製品は、主にステンレス鋼の原料として使用され、世界的な需要の変動や価格動向が業績に大きな影響を与えます。また、ガス事業や不動産事業も手掛けていますが、売上の大部分をニッケル事業が占めています。
決算短信の要約
2025年3月期第3四半期の業績
(2024年4月1日~2024年12月31日)
売上高:1,070億9,000万円(前年同期比▲10.2%)
営業損失:▲632億円(前年同期:▲823億6,000万円)
経常損失:▲207億1,000万円(前年同期:▲309億5,000万円)
親会社株主に帰属する純損失:▲176億1,000万円(前年同期:▲196億4,000万円)
主力であるニッケル事業において、中国の不動産市場の停滞や高水準の金利が影響し、ステンレス鋼業界の需要が鈍化。ニッケル価格の下落や競合するニッケル銑鉄の価格優位性によって、販売価格の低下が続いています。一方で、調達コストは高止まりし、収益環境は厳しい状況が続いています。
財政状態
総資産:7,156億4,000万円(前期末比▲22億2,500万円)
純資産:6,705億7,000万円(前期末比▲200億3,000万円)
自己資本比率:93.3%(前期末比+0.1pt)
資産面では、在庫減少による流動資産の減少が見られる一方で、投資有価証券の評価減などの影響も受けました。負債面では、繰延税金負債の減少が主な要因となり、若干の減少が見られました。
セグメント別業績
ニッケル事業:
売上高:1,010億5,000万円(前年同期比▲10.6%)
営業損失:▲628億9,000万円(前年同期:▲819億6,000万円)
ニッケル製品の販売数量は戦略的な抑制方針の影響で前年同期比1.1%減少。生産数量も同様に減少し、市場環境の影響で販売価格も低迷。
ガス事業:
売上高:56億9,000万円(前年同期比▲9.1%)
営業損失:▲3億6,000万円(前年同期:▲2億4,000万円)
計画通りの操業ながら、原燃料価格の上昇が影響し、損失計上。
不動産事業など:
売上高:9億2,000万円(前年同期比+52.0%)
営業損失:▲1,000万円(前年同期:▲2,200万円)
売買成約があったものの、維持費などを上回る収益には至らず。
2025年3月期 通期業績予想(修正後)
売上高:1,343億7,000万円(前期比▲13.4%)
営業損失:▲762億3,000万円
経常損失:▲273億2,000万円
親会社株主に帰属する当期純損失:▲253億8,000万円
1株当たり純損失:▲130.15円
業績予想の下方修正を発表。フェロニッケル製品の販売数量の抑制方針を継続し、市況の厳しさを考慮した結果、前回予想から売上高を約66億円引き下げました。
今後の取り組み
収益基盤の再構築のため、海外企業と共同で海底資源から電池用金属材料および製鋼原料を製造する事業のフィジビリティスタディを進行中。
ベリリウム製造販売事業化に向けた提携を推進し、既存工場の活用を検討。
LIB(リチウムイオン電池)関連の研究開発の推進。
カーボンニュートラルへの取り組みを強化し、GHG排出量削減を目指す。
まとめ
大平洋金属は、ニッケル市況の低迷と高コスト環境の影響を受け、厳しい経営環境が続いている。売上は前年同期比で10.2%減少し、営業損失も継続。しかし、損失額は前年より改善の兆しが見られます。今後は、新規事業の展開やカーボンニュートラルの推進を通じて、収益安定化を目指す方針です。