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7296 エフ・シー・シー 2025.3Q

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記載した内容は特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資する際は自己判断でお願いいたします。

企業概要

株式会社エフ・シー・シー(FCC)は、自動車および二輪車用クラッチの開発・製造・販売を主な事業とする企業です。特に二輪車市場において高いシェアを誇り、インドやインドネシアなどの成長市場に強みを持っています。四輪車用クラッチの開発も行い、グローバルに展開する自動車メーカーへ供給しています。また、近年ではEV(電気自動車)やCASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)領域での新規事業開発にも取り組んでいます。

2025年3月期 第3四半期の業績

連結業績の概要

売上収益:1,897億5,400万円(前年同期比 +6.9%)
営業利益:157億円(前年同期比 +31.4%)
税引前利益:181億8,900万円(前年同期比 +23.4%)
親会社所有者帰属四半期利益:132億2,300万円(前年同期比 +26.7%)
四半期包括利益:169億6,800万円(前年同期比 △4.3%)

FCCの業績は、二輪車市場での販売拡大および円安の影響を受け、前年同期比で売上・利益ともに増加しました。特に、インドやインドネシアにおける二輪車クラッチの販売が好調で、収益成長に貢献しました。一方で、中国経済の不透明感が四輪車市場に影響を与えたものの、全体の業績は堅調に推移しました。

セグメント別の業績

◆二輪事業(売上収益 895億5,100万円、営業利益 104億200万円)

 インド・インドネシアでの販売拡大により、売上収益は前年同期比 +13.0%、営業利益は +44.5%と大幅な伸びを記録。

◆四輪事業(売上収益 1,001億4,100万円、営業利益 75億1,800万円)

 中国・米国市場の販売減少があったものの、円安の影響で売上は前年同期比 +1.9%、営業利益は +11.3%と増加。

◆非モビリティ事業(売上収益 6100万円、営業損失 22億1,900万円)
 環境・エネルギー関連の新事業開発が進行中だが、引き続き赤字が継続。

地域別の業績

◆日本(売上収益 194億7,700万円、営業損失 4億300万円)
 前年同期比で1.2%の売上減少だが、赤字幅は縮小。

◆米国(売上収益 755億6,100万円、営業利益 56億9,300万円)
 四輪車用クラッチの販売減少があったが、円安効果で売上は+2.9%。

◆アジア(売上収益 860億7,400万円、営業利益 84億3,900万円)
 インド・インドネシアの二輪車市場での伸びが大きく貢献し、売上は+12.3%、営業利益は+38.9%と大幅成長。

◆その他地域(売上収益 86億4,100万円、営業利益 15億1,900万円)
 売上+12.3%、営業利益+42.4%と順調に拡大。

財務状況

総資産:2,503億9,100万円(前年同期比 +5,387百万円)
資本:1,925億9,300万円(前年同期比 +5,990百万円)
流動資産:1,649億1,500万円(前年同期比 +2,081百万円)
非流動資産:854億7,600万円(前年同期比 +3,305百万円)

流動資産の増加は主に棚卸資産の増加(+2,128百万円)やその他の金融資産の増加(+9,327百万円)によるもの。一方、流動負債は借入金の減少(△3,100百万円)により若干減少しました。

キャッシュ・フロー

営業キャッシュ・フロー:230億500万円(前年同期比 △34.2億円)
投資キャッシュ・フロー:△216億1,700万円(前年同期比 △157億円)
財務キャッシュ・フロー:△145億1,300万円(前年同期比 △98.2億円)

営業キャッシュ・フローは税引前利益の増加により安定的でしたが、投資キャッシュ・フローでは設備投資(有形固定資産取得 108億6,700万円)が影響。財務キャッシュ・フローは、自己株式の取得(37億9,900万円)や配当金の支払い(71億4,500万円)により減少しました。

配当

2025年3月期(予想):202円/株(前年74円から大幅増)
第2四半期末配当:101円(普通配当 38円、記念配当 63円)
期末配当(予想):101円(普通配当 38円、記念配当 63円)

2025年3月期 通期業績予想(修正後)

売上収益:2,430億円(前年同期比 +1.1%)
営業利益:165億円(前年同期比 +9.3%)
税引前利益:180億円(前年同期比 △6.1%)
親会社所有者帰属当期利益:128億円(前年同期比 +4.6%)
1株当たり当期利益:261.32円

当初の業績予想(2024年11月1日公表)から修正され、営業利益・税引前利益・当期利益ともに上方修正されました。主要通貨の想定為替レートは米ドル149.43円、インドルピー1.78円、中国人民元20.70円など。

総評

FCCの2025年3月期第3四半期業績は、インド・インドネシアの二輪市場が好調で、円安も追い風となり、前年同期比で売上・利益ともに大きく伸びました。一方で、中国市場の低迷や非モビリティ事業の赤字は課題として残ります。

また、今期の業績予想は若干の上方修正が行われており、202円の配当予想は投資家にとってポジティブなニュースと言えます。今後の課題は、EV/CASE領域の新規事業の成長加速と、中国市場の回復に向けた戦略展開となるでしょう。