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1870 矢作建設工業 2025.3Q

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記載した内容は特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資する際は自己判断でお願いいたします。

企業概要

矢作建設工業株式会社(コード: 1870)は、愛知県名古屋市に本社を構える総合建設会社です。建築工事・土木工事を中心とした請負事業を展開するほか、不動産開発やゴルフ場経営、建設資材の販売なども行っています。特に、東海エリアを中心とした民間建築工事に強みを持ち、物流施設や商業施設、住宅建設など幅広い分野で事業を展開しています。

    2025年3月期 第3四半期の業績

    (1) 業績

    2025年3月期第3四半期(2024年4月1日~12月31日)業績のポイントは以下の通りです。

    ・売上高は増加(前年同期比+6.9%)し、970億円を突破。

    ・しかし、営業利益・経常利益・純利益は60%以上減少。

    ・原材料費や労務費の上昇が利益減少の主な要因。

    ・不動産事業の落ち込み(売上半減)も影響。

    (2) セグメント別業績

    <建築事業>

    売上高:635億円(前年同期比+35.7%)

    セグメント利益:16億円(前年同期比+20.1%)

    ◆好調な分野

    ・民間建築工事が大きく伸長(前年同期比+31.9%)。

    ・官庁向け工事も増加し、新規案件獲得が進んだ。

    <土木事業>

    売上高:225億円(前年同期比+1.8%)

    セグメント利益:31億円(前年同期比-11.9%)

    ・安定成長

    ・官庁向け土木工事が堅調(前年同期比+4.1%)。

    ・民間土木工事は横ばい。

    <不動産事業>

    売上高:110億円(前年同期比-49.6%)

    セグメント利益:20億円(前年同期比-73.7%)

    ◆大幅減少の要因

    ・2024年に大型不動産売却があったため、その反動減。

    ・収益物件の売却が少なく、利益率が低下。

    財政状態

    <財務面のポイント>

    ・売上債権(未収入金)の増加で総資産が増加。

    ・短期借入金が大幅増加(+141億円)し、資金繰り強化。

    ・純資産は減少(配当金の支払い等が影響)。

    ・自己資本比率が低下(52.8% → 47.4%)し、財務健全性は若干悪化。

    配当状況

    2025年3月期の年間配当:80円(前年60円)

    普通配当:60円

    創立75周年記念配当:20円

    <ポイント>

    ・10円の増配を予定。

    ・会社の安定性を示しつつ、記念配当で株主還元を強化。

    2025年3月期の業績予想

    会社は2025年3月期の通期予想を据え置き。

    ✅ ポイント

    売上高は増加する見通し(1400億円を計画)。

    しかし、利益は前年より減少する予想。

    原材料費高騰や労働コスト増加が続くため、利益率は改善しづらい。

    重要な契約

    <物流施設建設プロジェクト>

    野村不動産と物流施設建設契約を締結

    建築工事受注額:約400億円

    工期:2025年3月~2027年3月

    売上計上:2025年~2027年に分散

    ・中期的な収益確保に貢献

    まとめ

    <良かった点>

    ・売上高は順調に成長(+6.9%)し、建築・土木工事は好調。

    ・増配(80円)で株主還元強化。

    ・野村不動産との大型契約(400億円)が収益に貢献。

    <課題・リスク>

    ・利益率の低下(営業利益・経常利益が60%減)。

    ・資材価格の高騰・労務費増加が収益圧迫。

    ・不動産事業の売上減少(前年比-49.6%)。

    ・短期借入金が増加し、資金調達の負担が増える可能性。

    総評

    矢作建設工業は、建築・土木事業の堅調な伸びが続いており、売上は増加。しかし、不動産事業の落ち込みやコスト上昇により、利益は大幅に減少。今後は、物流施設などの大型プロジェクトを活かしながら、利益率改善が重要課題となる。